子どもと親の両目線で考える絵本評価 ─ 第1回:なぜ絵本を読むのか?絵本と親の役割とは?

絵本レビュー

私たち家族は毎日のように子どもと絵本を読んでいます。そのなかで、絵本に対して感じた「この絵本、良いな」や「この絵本はちょっとココが引っかかるな…」という、モワモワっと感じていたことを整理することで、以下の6つの評価軸に落とし込みました。

  1. リズムと構成の良さ
  2. ポジティブな表現
  3. 子どもとの対話性
  4. 言語表現の適切さ
  5. 絵のリアルさ
  6. ストーリーの現実味

複数回にわけて、上記の評価軸がそれぞれどのようなものなのかについて徒然と書いていきたいと思います。

今回は、

  • なぜ絵本を読むのか
  • 絵本と親の役割とは何か
  • 絵本読み聞かせにおける大事な心構えとは

といった、各評価の基礎になる部分について取り上げます。どれも当然といえることが多いのかもしれませんが、これ以降の土台となる部分ですので、最初にご紹介します。

なお、これ以降は話をシンプルにするために絵本の読み手を親として書いています。

各評価軸は、”現状”未就学児までを対象

最初にお断りとなりますが、最初に述べた各評価軸は全ての絵本・全ての年齢で有用とは考えておりません。”現状”未就学児である3歳ごろまでが有用と考えています。発する言葉がまだおぼつかなく、文字もまだ上手に読めない年齢(月齢)である子どもに対して絵本を読む際に気にしたい項目です。

ここで”現状”としているのは、今後アップデートが入る余地があるためです。私の娘はまだ2歳で、その娘と絵本を読んだ経験が基になっています。読んだ絵本の冊数は100冊を超えており、読み聞かせ回数は数えられないほどしていますが、この頃の子供の成長はとても早いもので、子どもの対応も変わっていくでしょう。そういったなかで、評価軸に更新は入るかもしれませんし、年齢に応じた新たな軸を考えるかもしれません。その場合には、随時お伝えできればと考えています。

第1目標は「読書は楽しい」と思ってもらうこと

そもそも、何のために絵本を読むのでしょうか?日本語(または英語など)を理解するため。認識できるモノ・コトを理解するため。苦手なことができるようになるため。感情・表現力・感受性が豊かになってほしいため。

いろいろ思いつきますが、私は絵本を「読書への抵抗を減らし、自律的に読めるようになるための最初のフェーズ」と位置付けて考えています。子どもが大きくなり、文字を読めるようになり、そして自分一人で本を読めるようになったときに、読書という行為が手段の一つとして自然にできるようになってほしい、という思いからです。「勉強のために本を読む」ではなく、「本を読んでいたら、自然と勉強になっていた」という状態になっていてほしいなと。

ゆえに、私にとっての第1目標は「読書は楽しい」と思ってもらうことに他なりません。子どもが同じ絵本を「もう一回読む」と言ってくれたり、「次はこっち」と別の絵本を持ってきてくれること。これがいつまでも続いてほしいなと思っています。

とはいえ、優先度としては下がるものの中身も当然重要であろうと考えており、それも含めての各評価軸となります。

絵本を読むことは、子どもと親の共同作業

小さな子どもは、文字が読めないために一人で絵本を読むことが難しいですよね。そのため、絵本を読む際は(少なくとも一度は)親が声に出し、子どもが耳を傾けるという形になります(内容を覚えてしまえば、たとえ文字が読めなくても一人で絵本を読むことはあるかもしれません)。

結果として、小さな子どもは「絵本を読む」という行為に対して、いくらか受け身にならざるをえません。子どもが絵本の世界に入り込むためには、大人の手引きが必要となります。さらにいえば、子どもがほんの小さなうちは、絵本に対する興味自体とても薄いものですから、その場合には親が絵本の世界に連れていくことからする必要があります。

小さな子どもにおける絵本を読むという行為には、絵本の重要性はもちろん、読み手である親もまた重要な要素といえます。子どもが「絵本はおもしろい」「もう一度読みたい」「別の絵本も読んでみよう」という心持ちになってもらうためには、絵本との仲介役である親が、絵本の良さを子どもにしっかりと伝えることに大きく関わってくるからです。

絵本が読みやすければ、自然と親も上手に読める

絵本を上手に読むのは難しく感じるかもしれません。しかし、重く受け止める必要はなく、絵本には読みやすいものが多く、そういうものから読みはじめれば良いです。読みやすい本であれば、自然と上手に読めるようになります。詳細については、各評価軸の説明とあわせて第2回以降のどこかで記載する予定です。

つまり、逆説的な言い回しですが、絵本を読むうえで朗読者たる親の役割は重要であるものの、親が上手な朗読者になれるかどうかは、やはり絵本自体による部分が大きいということです。

そして、子どもに読み聞かせる内容についても、当然絵本によって決まります。そのため親か絵本かどちらが重要なのかと言われれば、絵本であることに間違いありません。親は絵本の内容を子どもに伝える代弁者です。

絵本の読み方に正解はないので、自由に楽しみながら読もう

加えて、絵本を読む親自身が楽しみながら読むべきです。「読まなきゃ…」という義務感を抱いて読んでしまうと、子どもは敏感なのでそのプレッシャーを受け取ってしまいます。親が楽しんでいれば、聞く子もつられて楽しくなります。歌いながら。キャラに応じて声色を変えながら。踊りながら。絵本の読み方に正解はありません。自由に読んでみて、子どもと一緒に絵本時間を楽しみましょう。

おわりに

さて、今回の記事では下記についてお伝えしました。

  • 絵本を読書全体の入り口と捉えていること
  • 絵本を読むことは親子の共同作業
  • 絵本の読み方は自由

次回以降は、各評価軸に焦点を当てて絵本評価の具体的な内容についてお伝えしていきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました